子ども 非認知スキル 格差社会

【書評/非認知スキル】私たちは子どもに何ができるのか −非認知能力を育み、格差社会に挑む



これからの日本では、ますます経済格差が子どもの貧困に追い討ちをかけていくと言われています。


今回は、「私たちは子どもに何ができるのか −非認知能力を育み、格差社会に挑む by ポール・タフ」の書評を通して、その課題に対して一足先にアプローチを始めているアメリカの事例をご紹介いたします。


私たちパパママが、子どもの「非認知スキル」の獲得においてできることは何かヒントを得ることができればと思います。



ポイント(目次)
  1. 子どものために家庭できること
  2. ママへのサポート
  3. パパとママが先生になる


子どものために家庭できること

子どもの健全な「心の発達」のために、子育てができる環境が家庭に整っているだろうか。

経済的事情、衛生、栄養、運動、休養、パパやママの関係、子育て方針など、子どもの「心の発達」に重要な要因が家庭には存在する。

その「心の発達」は、学校での成績やIQなどの「認知スキル」や、最後までやりぬく力、好奇心、自制心などの「非認知スキル」の両方に影響を与えるが故に、バランスよく、子育ての戦略を立てていく必要がある。

本書では、「幼児期の介入」の中で、いかに3歳未満の子供における子育てが重要であるかが述べられている。

それは、子どもが様々なストレスに晒されることによって、子どもが学校生活や社会に対して心の扉を自ら閉じてしまう傾向にあり、それがその後の子どもの人生に影響を与えるからだ。

子どもはそれほど繊細な心の持ち主なのである。



ママへのサポート

上記のサブトピックの延長線上として、子どもは特に母親のストレスに敏感である。

それは、産前、産後、の母体にいる時から授乳至るまで愛着が形成されていることが大きいのかもしれない。そして、その愛着は、子どもに安心感や安全と思える気持ちを芽生させ、子どもの自己効力感を育むことにも重要な要因である。

本書でも、母親が子どもにとって「心の安全基地」となることの重要性を主張している。

しかし、ママが子どもの「心の安全基地」となれる家庭環境は、整備できているだろうか。

  • それには、下記のことが重要であるかもしれない。
  • パパは子育てに積極的に参加しているか
  • 周りに、パパママを支えてくれる身内や親戚はいるか
  • パパやママを身近に支えてくれる友達はいるか
  • 行政はしっかりと支援体制を整えているか

もちろん、パパが余裕を持って子どもと接することも重要であり、パパママのお互いが、心の安全基地の構築に力を合わせる必要があるのは言うまでもない。



パパとママが先生になる

現代において、インターネットが普及してオンラインでの学校カリキュラムなど、これまでの「教室や学校で学ぶ」というスタイルが少なくとも主である必要性が無くなってきている。

そして、新型コロナなどの感染症がこれまでの教育システムの脆弱性を露わにし、子どもの学ぶ権利をも脅かしている。

そのような状況で、本書やその他の本を含めて「非認知スキル」の獲得において、科学的根拠として実証された手立て、手法などの方法論は、これまでの学校教育現場が主となっている。つまり、”学校ありき” の非認知スキルの獲得方法が通用しない可能性があるのだ。

そのような状況で、社会の教育的機関が家庭での教育を支援するのはもちろんのこと、パパやママが教育に対する意識を向上させること、教育スキルを獲得し家庭で非認知スキル、認知スキルの獲得を目的とした家庭教育の実践が今後重要なのかもしれない。

子どもの成長には「待った」をかけることはできず、パパママが今できることは何か、行政ができることは何かを整理した上で、子どもの教育でできることは即実践に移していくことが重要ではないだろうか。