について、下記の本を読んで考えてみました。
“「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考 “
著者:末永幸歩 ダイヤモンド・グラフィック社出版
乳児期、幼児期の子どもの思考力をどう育てるのか、それはパパやママが気になるトピックではないでしょうか。
思考力は、キャリア開発において、また人生を豊かなものとするためにも非常に重要な能力です。そのことからも、子どものために何ができるのかという強い思いがあり、このトピックを扱う所以です。
一般的に、思考力とは、「考える力」と言われています。
思考力 = 考える力
何か、物事を思考する際に、私たちは生まれたあとの環境、家庭教育、義務教育、社会経験から学習したレンズを通した見方をするために、考えることを限定的にしてしまう傾向にあるようです。
本書では、その思考プロセスを「アートという植物」で表現しています。
私たちが普段見ているものは「表現の花」に過ぎず、実はその花を構成しているものに、「興味のタネ」と「探究の根」が地中に広がっており、私たちが如何に「表現の花」と言う物事の一部しか見てないかということについて述べています。
ここでいう「興味のタネ」とは、目に見えているモノのが、なぜそのように見えるのかという興味を促す問いのことであり、「探究の根」とは、その問いに対する答えを見出す活動とも言えます。
つまり、本書では、私たちが「表現の花」を限定的にしか見ることができないからこそ、私たち個々人が生み出す成果も限定的になってしまうということを主張しているのです。
そこで、本記事では、本書からの学びを基に、「子どもの思考力を育てる」についてモノの見方という側面も交えて考えてみたいと思います。
- 本の概要
- 子どもの思考力を育てることが重要な理由
- “正しい”とは何か
- 子どもの思考力を育てる
- まとめ

本の概要
本書の著者は、美術教諭としての経験を基に、従来のその教育手法が如何に限定的であったかを論じている。そして、”アート”の概念的な捉え方を変えるだけで、単に中・高校の美術教科の改善に終始するのではなく、私たちのキャリアを含む生き方までも豊にする可能性があることを主張している。
現代では、技術革新によって急速に時代は変化し、多種多様なキャリア、生き方をもたらしている。その一方で、柔軟なモノの見方によって、自ら問いを生み出し、答えを出せる人々が幸せを手に入れることができるのではないかと明示している。
子どもの思考力を育てることが重要な理由
子どもの思考力を育てることは、将来子どもが社会にで幸せな人生を送っていく上で、非常に重要なことです。
それは、技術革新などによって社会やそのニーズが急速に変わり複雑化するなかで、人々のニーズも刻々と変わり、柔軟なものの見方によって、”正しい問い”を生み出し、それに対する”正しい答えを作り出して”いかないといけないからです。
“正しい”とは何か
ここで深堀りしたいのが、何が”正しい問い”で、何が”正しい答え”かです。
本書では中学校や高校の教科であるアート(美術)を例に、次のように述べています。
”私たちは「自分だけのものの見方・考え方」を喪失していることに気づいてすらいないということです”
その一文を基に結論から言うと、私は”正しい〜”というのは、自分の中にあるのではないか、と言うことです。
私は、これまで何かと”正しい〜”を考える場合、主観的な思考を抑制していたように思います。客観的に物事を見て、周りの人たちと乖離のない問いや答えを作り出していくということに終始していたのです。
例えば、周りと同じような考えであれば私の考えは ”正しい” 、周りと同じような生き方であれば ”正しい” というように自然と考えていたように思います。
しかし、それはいつからか周りと同じでなければならない、社会とはそういうものだと決めつけていた自分を作り上げていました。
もちろん、倫理的なトピックを除いては、社会的に正しい考えや問い、答えなど存在しません。色々な考えや問い、答えがあっていいのです。
そのため ”正しい〜” という定義付けをしていたのは、他人ではなく紛れもなく自分だったように思います。さらに、その考えの根底にあるのは、主観的な自分の考えや意見ではなく、客観的に考えようとするあまり、他人の考えを鵜呑みにした、他人の考えや意見でした。
つまり、何かの考えや問い、その答えを考えているようで、実は考えているフリをしていただけなのです。
それは、個人の経済力、能力などが平等ではない不平等な社会において非常に致命的です。なぜなら、他人と同じ価値観、考え方で同じような成功を手に入れることができないからです。他人の考えを身にまとい、そもそも幸せなどを感じられるわけもありません。
本書を読むことで、自分だけのものの見方をするということを、いつの間にか忘れていることに気づかせてくれます。それと同時に、自分のものの見方が私たちの人生において如何に重要であるかも教えてくれています。
それは多くの人にとっても有益な情報ではないでしょうか。
子どもの思考力を育てる方法
では、ここで一旦話を、子どもの思考力を育てる方法、に戻したいと思います。
まず、子どもが主観的な自分の考えを見出す、問題を提起する、そして、それに対する答えを見出すことができるようにパパとママが子育てをすることが重要ではないでしょうか。
大人の場合、これまでの義務教育や社会経験を通して学んだことがフィルターとなり、そのフィルターによって見方が限定的となる傾向にあるようです。
しかし、子どもはそれに当てはまりません。
子どもの場合、物事を認知し始め、言葉を覚えていくという成長過程にあります。なので、単純に、自分のものの見方を奨励してあげることが重要になるのではないでしょうか。それが、「子どもの自己効力感を育む本 松村亜里 著」で触れられていた、「まずはやってみよう」という自己効力感を高めることに繋がるからです。
それと同時に、そこから何か自発的な問いが生まれるように、または、親が誘導して問いへと発展させていく手立てが重要になります。
さらに、その問いに対して、子ども自身の答えは何なのか、自分で調べたり、パパやママ、友達、親戚に聞いたりした結果をまとめるという作業が必要になります。
その際に、パパやママ、周囲の大人が意識することは、何があっても子どもを受容してあげるというポール・タフが「私たちは子どもに何ができるのか」の中で主張する「心の安全基地」となるよう信頼を築くことが大切です。
まとめ
今回、”「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考 著者:末永幸歩” を読んで、子どもの思考力を育てる方法について考えてみました。
子どものモノの見方が柔軟で生まれてきたのにも関わらず、あらゆる学習や経験を通して、それが限定的になってしまい、思考力に影響を与えてしまいます。それを防ぐためにどのようなことができるのかを考えさせてくれる機会となりました。
皆さんも本書を読んで、思考の制限を解除してみてはいかがでしょうか。