について、以下の本を読んで考えてみました。
「言葉をおぼえるしくみ 〜 母国語から外国語まで 今井むつみ/針生悦子」
前回のブログで、私の娘が「ダーダ “お父さん”」という言葉を発した疑惑について、ご紹介しました(興味ある方は一番したのリンクよりどうぞ)。
そのことがきっかけとなり、乳児は実際にどのようなメカニズムで言葉を覚えていくのかという興味に火が付き、本書を読ませていただきました。
今回はその本について、ネタバレのないように最小限ご紹介(書評)いたします。
- パパやママの言葉力
- 乳児の優れた長所
- 2歳というゴールデンエイジ
- パパやママにできること
1. パパやママの言葉力
乳幼児の言葉の発達において、パパやママが「言葉」という字をどこまで掘り下げることができ、その発達に注力できるのかは非常に重要であり、同時に難しいことでもある。
それが重要である理由は、品詞を知ることが乳幼児の発達段階に合ったコミュニケーションを容易にし、外国語の習得にも演繹的に貢献するからである。
本文では、「言葉」を品詞毎に分解し、名詞、動詞、形容詞、助詞、助数詞などの側面から、乳幼児がいかにそれらの品詞を習得しているのか、分析結果を基に論じている。
大学で言語学などの分野を専門にしたパパやママでない限り、言葉の各パーツについてそう詳しくはないであろう。もしくは、専門的に勉強したわけではないが、外国語が得意というパパママは、それらの大部分を理解しているに違いない。
いずれにせよ、乳幼児がパパやママが話す言葉や周りから聞こえてくる言葉を含め、月齢に合った習得しやすい品詞があることから、どの月齢で、どのようなコミュニケーションが乳幼児の言葉の発達を促進させるのかに影響を及ぼす。
さらに、外国語の習得においては、言葉のパズルの一つ一つのピースを瞬時に当てはめ、言葉や文を作る作業を効率化させてくれるのだ。
したがって、パパやママの言葉力なくして、乳幼児の言葉の発達は考えられないのだ。
2. 乳児の優れた長所
パパやママであれば、乳幼児がいかに小さなモノから大きなモノまで殆どのモノに興味を示すことをご存知ではないだろうか。
例えそれが、何かの部品の一つで合ったとしても、身の回りに落ちているモノであれば、すぐに手づかみして、口へと運んだり、落としてみたり、また拾い上げて振ってみたりと興味津津である。
そして、言葉においては、乳幼児は言葉のマニュアルがすでに頭の中にあるかの如く、言葉の前後関係を理解しながら言葉を分解し、ある固有名詞を覚えたり、動詞を覚えたり、形容詞を覚えたり、さらには、自分の発する言葉に応用させたりできるのだ。
余談であるが、本文ではそれを証明するための分析手法を考案していることも凄いと思う。
3. 2歳というゴールデンエイジ
人間が言葉を覚えていく過程で、それが促進される最適な時期があり、なるべくその時期に多くを学ぶことが最善だと言われている。その最適な時期というのが、2歳〜6歳前後である。
本文では、「語彙爆発」という言葉でそれが表現されている。前回のブログを例にすると、キンチの理論における、「文字の認識」ができるようになる時期でもあり、その後の文字に関わるイメージ、経験の習得にも影響されているからである。
ゴールデンエイジという言葉は、もともと「幼児期や児童期が、様々なスポーツの技術や体力を身につけるのに適した時期」ということを表し、スポーツ科学で用いられている専門用語の一つである。
あえて、そこからゴールデンエイジを引っ張ってきた理由としては、スポーツにおいても、言葉の発達においても、子どもの発達を取り巻く環境が重要だからである。
本文では、語彙爆発を促進するための方法論については特段論じていないが、子どもが言葉を学ぶ環境をどう整えていくかは重要である。
「蒔かぬ種は生えぬ」である。
4. パパやママにできること
本文では、タイトルであるように、如何に乳幼児が言葉を学んでいくのかについて、科学的な根拠を基に論じられている。特に、パパママがしてあげることついては、述べていない。
しかし、本書は、パパママが読む価値ある一冊である。
なぜならば、本書で紹介された科学的根拠を演繹的に子育てに実践していくことは可能であり、そして、そこでの学びを再度帰納的に分析することで、子どもへの言葉の教育方法において修正が可能となる。
その修正によって、子どもは正しい言葉を学び、自己表現に繋がる多くの言葉を学べるようになるのではないだろうか。
そして、パパママが母国語を科学することで、言葉の「素晴らしさ」や言葉の持つ「力」を子どもに教育を通して自ら伝えていけると考えるからだ。
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